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2020.8.7

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個人事業主が抑えておきたい社会保険制度をまとめて解説!

個人事業主が抑えておきたい社会保険制度をまとめて解説!

個人事業主の社会保険の種類は、会社員のそれとは異なります。
会社に勤めている場合は、必要書類を会社に提出すればその会社の保険に加入できましたが、個人事業主の場合は自分で選択して申請が必要です。

この記事では、個人事業主が加入できる社会保険について詳しく解説いたします。

個人事業主の社会保険の種類まとめ

まず、個人事業主が加入すべき社会保険をご紹介します。

・国民健康保険
・国民年金
・労災保険

上記3点が、個人事業主が加入できる社会保険です。

労災保険は必須ではなく加入していない方もいますが、なにかあった時の補償が欲しいとお考えの方にはおすすめです。

個人事業主本人は雇用保険に加入できない

会社員の場合は雇用保険に加入することが当たり前でしょう。

雇用保険は被雇用者の生活の安定のための保険で、
・失業手当
・教育訓練給付金
・その他の給付金

の支給を受けるために必要です。

この雇用保険は、個人事業主の場合加入できません。
ただ、個人事業主が下記の条件に当てはまる従業員を雇った場合は、従業員は雇用保険の適用対象となります。

・1週間に20時間以上の所定労働時間がある
・31日以上雇用する予定がある

この条件は、正社員・アルバイト・パートなど雇用契約に関係なく適用されます。

また、個人事業主の家族は基本的には雇用契約の対象外となりますが、一部例外も。
・事業主の指揮命令に従っていることが明確に分かる
・勤務実態および給料等が他の従業員と同レベルである
・取締役等事業主と利益を共有する地位でない

という3つの条件を満たせば、雇用保険に加入可能な場合があります。

雇用保険料の割合は、
・一般事業 9/1,000(労働者負担3/1,000:事業主負担6/1,000)
・農林水産/酒造業 11/1,000(労働者負担4/1,000:事業主負担7/1,000)
・建設業 12/1,000(労働者負担4/1,000:事業主負担8/1,000)

となっています。
手続きは管轄の労働基準局で行ってください。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html

個人事業主でも加入できる労災保険とは?


さて、ここからは個人事業主本人が加入できる労災保険について紹介していきます。
労災保険とは、業務上や通勤中に起こったトラブルにより負傷した場合に、保険金が給付される制度です。

会社員の場合は、労災保険料は会社が支払うので個人の負担はありません。
個人事業主では、事業規模や業種に応じて以下の中から選択して加入します。

一人親方労災保険特別加入制度

一人親方労災保険特別加入制度は、定められた事業を労働者なしで行う個人事業主が加入できる労災保険です。

対象となるのは、
・個人タクシーや個人で貨物運送を行っている人
・建築事業
・漁業
・林業
・医薬品の配置販売事業(要認可取得)
・リサイクル資源の収集/運搬/選別/解体事業
・船員法第1条に規定された船員

といった業務です。

参考:https://taxlabor.com/news/2020/04/10/

特定作業従事者の特別加入

特定作業従事者とは、以下に定められた業種でなおかつ要件を満たした個人事業主のことです。
・特定農作業従事者
・指定農業機械作業従事者
・国あるいは地方公共自治体が実施している訓練従事者
・労働組合等の常勤役員
・家内労働者とその補助者
・介護作業/家事支援従事者

要件はそれぞれ異なるので、該当する方は自治体の役所等にお問合せください。

海外派遣者の労災特別加入制度

海外派遣者の特別加入労災保険とは、
・日本国内の事業主から海外の中小規模事業所に事業主(労働者ではない)として派遣
・日本国内から海外事業へ労働者として派遣
・開発途上地域を対象にした技術協力を行っている団体から該当地域での事業に従事する

といった条件にあてはまる個人事業主が加入できる保険です。

中小事業主等の特別加入

こちらは完全な個人事業主向けではありませんが、中小規模の事業主が加入できる内容となっています。
中小規模の事業主は必ずしも法人である必要はなく、以下の労働者を常時使用する事業主のことを指します。

中小規模の定義は以下のように従業員の数で変化します。
・卸売業/サービス業:100人以下
・金融業/保険業/小売業/不動産など:50人以下
・それ以外の事業種:300人以下

この特別加入保険は、事業主の家族が従業員の場合も加入可能です。

参考:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-5.pdf

加入必須の健康保険

医療や保険証の発行のためには、健康保険への加入が必要です。
会社員の場合は、会社やグループが加入している健康保険組合の健康保険へ加入しますが、個人事業主の場合は全額自己負担となります。

国民健康保険

個人事業主の多くが加入しているのが、国民健康保険です。
主に自治体が運営しているため、申し込みは住んでいる自治体の役所で行いましょう。

組合の健康保険

個人事業主であっても、業種によっては組合の健康保険に加入できることもあります。
・建築/土木関係
・文芸/美術関係
・税理士
・医師

などが、それぞれに組合を持っています。

任意継続

会社を辞めてからしばらくは、その会社の健康保険を任意で継続できる制度があります。
保険料は全額自己負担となりますが、ケースによっては保険料自体が国民健康保険よりも抑えられることも。

期限は2年間で、一度申し込んだら2年間満了するまで変更はできません。

扶養に入る

配偶者や家族が会社員などで健康保険に加入していれば、扶養家族になって保険証を発行してもらうという方法もあります。
ただし年間の収入が130万円以下という規定がありますので、一定以上の収入がある場合は利用できません。

個人事業主の年金とは?


年金も、会社員と個人事業主では種類が異なります。
会社員が加入している厚生年金は保険料が会社と折半となりますが、個人事業主は全額自己負担が基本です。

国民年金

国民年金は、20歳以上60歳未満の全国民に加入が義務づけられている国運営の年金制度です。先払いなどで割引が利用できることもあります。

付加できる年金

国民年金に付加保険料を400円/月上乗せして支払うと、年金受給額が増やせます。
ただし、国民年金加入者本人でないと利用できません。

・国民年金基金
・確定拠出年金

などに入っている方も付加保険の適用対象外となるので、注意してください。

個人事業主の家族はどうなる?

個人事業主本人の社会保険について解説しましたが、配偶者や子供などの家族や被扶養者の保険はどうなるのでしょうか?

会社員の場合は130万円/年以下の収入であれば扶養家族として、代表となる加入者1人が保険料を払って扶養家族分の保険証がもらえます。

一方、個人事業主の場合では扶養家族というシステムがありません。
世帯主が個人事業主の場合は、配偶者・成人した子供であれば自分の収入に応じて個人で保険料を支払います。

これは年金でも同じで、世帯主・配偶者・子供などそれぞれが年金保険料を支払う必要があります。

まとめ:個人事業主が抑えておきたい社会保険制度をまとめて解説!

本記事では、個人事業主が加入できる社会保険について解説いたしました。
会社員の場合は社会保険にまとめて加入することが多く、それぞれの保険について詳しくないという方も少なくないかもしれません。

また、会社員と個人事業主では加入できる保険の種類や負担額も異なることが分かりました。
ご家族が従業員となる場合も、本文中でご紹介した条件を確認しましょう。

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