経営戦略とは、事業全体における中長期的な指針のことです。
しかし、様々な場面で使われるのできちんと理解できていない方もいるかもしれません。
ビジネスのあらゆる面で大切なものなので、本記事の中でご紹介する基本的な知識や具体的な方法をご覧になってください。
Contents
なぜ経営戦略が必要なのか?
経営戦略は、なぜ企業にとって必要な存在なのでしょうか?
確かに、経営戦略の大切さを知らなければ、わざわざ分析や計画立案などをしなくても、何とかやっていけるのではないかと思われる方もいるでしょう。
実際に、経営戦略を考えずにそれとなく事業をされている経営者がおられるのも事実です。
しかし、なぜ経営戦略に力を注いでいる企業が多くあるのでしょうか?
それは端的に「会社経営のため」であると言えます。
会社を経営しているのならば、色々な形の製品・サービスを顧客に提供しています。
それは、食品であったり、制作物であったり、会社ごとに形態は異なっても、販売するという事には変わりません。
そこで適切な戦略を練っていかないと行き当たりばったりな経営で、会社の成長どころか経営の安定も難しくなってしまう可能性があります。
市場や顧客、自社の状況など様々な視点から計画を立案することで、会社の方針を決定づけることができます。
また、経営戦略の立案により、具体的な目標が掲げられることで、従業員のモチベーションも持続しやすくなるでしょう。
経営戦略には種類がある
次に、経営戦略と一口に言っても種類が存在しますので、そちらをご紹介します。
全体戦略
全体戦略は、企業と中長期的な目的を達成するために必要な戦略で、会社によっては「全社戦略」と呼ばれることもあります。
全体戦略の立案から実行までには、以下のようなステップが必要となります。
1.会社自体のビジョンの設定
2.ビジョンを達成するための領域と方法を決める
3.どの事業にどれくらい経営資源を配分するかを決める
4.事業ごとに目的や機能を決める
5.実行する
つまり全体戦略は、会社自体の目標を達成するための計画を立てる行為ということです。
この全体戦略には、しばしば経営者の意見が反映されることもあります。
全体戦略が決められないと、次に続く事業戦略・機能別戦略の詳細が決められず結果として会社に必要な計画立案が滞ってしまいます。
事業戦略
2つめにご紹介する事業戦略は、社内の事業それぞれの競争優位性を確立させるために立案される戦略・方針のことを言います。
全体戦略は会社としての方針でしたが、事業戦略はそれぞれの部門の事業ごとの戦略のことを指すケースが多いです。
特に多角経営をしている企業で重視される傾向がありますが、通常の企業でも目的に応じて部門が分けられているでしょう。
そういった部門ごとの戦略も事業戦略と呼ばれます。
事業戦略は部門や、会社によって色々な考え方が無数に存在するため絶対的なベーシックとなる考え方はないと言えます。
ただ、欧米を中心にほぼ定石としてとらえられている考え方があります。
1.社外の環境についての理解を深める
2.会社の資源や知識等、内部の環境について分析・理解をする
3.競争優位性を高める方向性を決定する
1と2については、最適なフレームワークを用いてデータ分析を行い、事業についての考えを整理したり会社にとっての優先度を決めたりします。
3の競争優位性を高める方法は、市場における差別化やイノベーションなどを用いて自社の強みを生かして立案します。
ただし、上記の方法は国や社会、事業内容によって大きく異なります。
また、時勢の影響も受けるので多方面からの情報収集が鍵となります。
機能別戦略
全体戦略・事業戦略が完了したら、機能別戦略の立案にうつりましょう。
機能別戦略は、事業をさらに細分化して各部門ごとの行動を決めていく行為です。
機能別戦略はまず以下の2つにおおまかに分けられます。
・後方支援活動
・マーケティング活動
これは一例ですが、この2つをさらに細分化すると以下のような内訳になります。
【後方支援活動】
・人材
・資金や材料の調達
・研究、開発、生産
【マーケティング】
・セグメンテーション
・ターゲティング
・マーケティングミックス
この3つの中でも、マーケティングミックスは自社製品のターゲットとなる顧客層へのアプローチ方法を決める大切な行動です。
よく、「マーケティングミックスの4大要素(エレメンツ)」というテーマを目にしますがその内容は以下のようになっています。
・プロダクト(製品・サービス)
・プロモーション(宣伝方法)
・プライス(価格)
・流通
これらすべての要素を英語にすると、Product・Promotion・Price・Placeとなるので頭文字をまとめて4Pと呼ばれることもあります。
自社製品の設定から、アフターケアの方法、流通の方法、業者の選定、宣伝方法、様々な費用を算出した価格設定をマーケティングミックスという作業で行います。
機能別戦略は、事業戦略の指針を社内の各部門に落とし込んだ内容だと言われます。
部門にもよりますが、市場や顧客のデータが必要な分、機能別戦略が一番消費者に近い戦略だと言えるかもしれません。
経営戦略は情勢に影響される
経営戦略は、時代・国・社会の情勢に大きく影響されます。
大げさな話と感じるかもしれませんが、20年前と現在ではかなり社会情勢や人々のニーズが異なることは誰でも理解できるでしょう。
情報収集への敷居も低い現代では、瞬時に色々な国の状況を知ることができます。
そのため、これからの経営者は従来よりも進歩的な考えを持つことを求められるようになるかもしれません。
経営戦略の立て方は?
先述の通り経営戦略には、
・全体戦略
・事業戦略
・機能別戦略
の3つのレベルに分けられます。
ではどうやって経営戦略を立案していくのでしょうか?
業種や会社、部門によって差はありますが、以下の手順で行われることが多いようです。
1.自社内外の分析
2.フレームワークを使って各データを分析する
3.策略の立案を行う
自社の内外の分析とフレームワーク使用でのデータ分析は同一されることもありますが、より詳細な分析を行うのは2番でしょう。
フレームワークは計画の枠組みを決める行為の総称で、社会的な情報を分析するものや、会社の事業の優先度を決めるものなど多岐にわたります。
このフレームワークを使って事業環境や工程を決めるための分析をバリュー・チェーンと呼びます。
バリュー・チェーンは、
・支援活動
・メインの活動
があります。
支援活動は、
・インフラ整備
・人材管理
・開発、研究
・原料調達
などの裏方の作業を総括した呼び方です。
対してメインの活動は、
・製造
・物流
・出荷
・マーケティング
・サービス/製品
といった顧客と企業を繋ぐ行動を指します。
事業内容によってそれぞれの活動詳細は違いますが、利益の最大化が共通した目的なのでどちらの行動も連携が必要となります。
まとめ:経営戦略とは?経営で大切な経営戦略の概要を徹底解説!
今回は、経営戦略の概要や具体的な立案の手順まで解説いたしました。
経営戦略は、色々な指針を決める行動の総称だということが分かりましたね。
細分化や地道なデータ分析など手間もかかりますが開業するだけでなく、長く生き残っていく企業に成長するためには丁寧かつ分かりやすい経営戦略が重要です。
経営者や、役員、各部門の従業員の方が連携して意識を高め合えるよう、それぞれの作業を丁寧に行いましょう。