法人立ち上げ前から考えておきたい事業の出口戦略とは? – 開業支援のオフィス店舗経営.COM|店舗オーナー様をトータルサポート

2020.10.7

2021.11.2

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法人立ち上げ前から考えておきたい事業の出口戦略とは?

法人立ち上げ前から考えておきたい事業の出口戦略とは?

出口戦略とは、ビジネスだけではなくさまざまな場面で使われる言葉です。
ごく簡単に説明すると、主に「敗勢の状況下でいかに自陣の損害を抑えるか」を考えるためのミッションです。

この記事の中では事業の出口戦略の概要についてご説明していきます。

出口戦略とは?

出口戦略(exit strategy)は現在経営や経済の場でよく使われていますが、初出はベトナム戦争末期のアメリカ国防総省であったと言われています。

自軍の損害が甚大な影響下で人命・物資両方の面で損失をできるだけ抑える方法を検討することを指します

元は軍事用語として使われていましたが現在では、
経営(市場からの撤退時に経済的な損失を抑える)
投資(転売や株式公開などで投資分を最大限回収する)
マクロ経済(景気後退時の金融政策を転換して経済成長を持続するための戦略)
など経営や経済面でよく使われていますね。

では、事業が出口戦略を行う際どんな方法が考えられるでしょうか

株式上場

株式上場とは、証券会社で株式が売買できるようになること。
上場するとオープンな市場で株式が売買されるため企業は資金を集めやすくなったり上場企業という信頼を得て事業が進めやすくなったりします。

新しく上場することをIPO(株式公開)といいますが、もちろん上場するためには高いハードルを超えなければなりません。
株式上場している企業は非常に少ないですが、もし実現できれば企業にとっても多くのメリットがあります。

しかし、出口戦略として株式上場を狙うのは難易度が高く、現実的ではないでしょう。

事業承継

経営者が身を引く際の出口戦略として、後継者に事業を引き継ぐ「事業承継」を利用するケースもあります。

会社はそのまま残りますが、事業を誰に引き継ぐか難点となる事例も多いようです。
というのも中小企業は経営者の手腕が会社の柱となっていることが多く、代表が変わることで事業に大きな影響を及ぼしかねません。

そのため、出口戦略で事業承継が選択肢に入っている場合は以下のポイントを重視したいもの
・経営承継
・所有承継
・後継者教育

ひと昔前は親族に事業を引き継ぐ企業も多くありましたが、最近では従業員など親族外に承継する割合が増加していることが分かっています。

いずれの場合でも、事業を安心して任せられる人材を育成することが重要ですので一朝一夕では難しいかもしれません。

M&A売却

M&A売却
ここからは、後継者がいない場合の出口戦略となります。
M&Aとは企業の買収あるいは合併のことで、以下の方法で行われます。

【資本移動を伴う】
買収(株式譲渡/新株引受/株式交換)
事業譲渡(一部譲渡/全部譲渡)
合併(吸収合併/新設合併)
分割(新設分割/吸収分割)
株式の持ち合い(業務提携の補強)
合併企業設立

【資本移動を伴わない】
共同開発、技術提携
・OEM提携
・販売提携

中堅の中小企業の多くが株式譲渡でM&Aを行うそうです。

M&Aの利点としては、
・後継者不在の解決
・事業拡大のチャンス
・創業者利潤の確保

といったものが挙げられます。

当然全てが上手く行くわけでもないので、
・組み合わせ
・交渉のあり方
・M&A後のマネジメント

重要です。

清算・廃業

清算・廃業は事業を存続せず自主的に止めることを意味します。
廃業の理由として多いのが、
後継者がいない
経営者の個人的な問題
売り上げの減少
・取引先の減少

などです。

経営者の出口戦略としては、清算・廃業・倒産は避けなくてはいけないものです。

倒産

倒産は廃業と混同されやすいですが、業績不振等の理由で経営を継続できなくなった状態を指すことが多いです。
明確に定義されているわけではないため、意味が混ざってしまうこともあるかもしれません。

倒産とセットで使われることも多い「破産」という言葉には、債務超過など弁済ができない場合の法的手段という意味があります。
2019年に東京商工リサーチが発表した統計データによると、2018年の1年間で休廃業や解散を選んだ企業は46,724件にも上ることが明らかになりました。

参考:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190121_01.html

高齢社会による労働人口減少感染症拡大などにより、今後も件数が増加することが懸念され社会的に大きな問題となっています。

政府や金融庁では、補助金や給付金などでサポート体制を強化しています。

後継者不足で廃業することのデメリット

後継者不足で廃業することのデメリット
廃業の要因として多いのが後継者不足ですが、それが要因で事業を終わらせてしまうことには大きなデメリットがあります。

ノウハウやスキルを消失してしまう

事業を中止することで、事業のノウハウやスキルが消失することになります。
また、取引先・仕入・顧客も会社として大切な資産です。

事業を継続する上で徐々に信頼によって築き上げてきたそれらを失うことは大きな痛手と言わざるを得ません。

従業員が働き口や収入がなくなる

廃業するにあたって、最も大きな問題となるのが従業員の雇用についてでしょう。

事業を止めるのだから当然お給料は発生しませんし、これまで共に頑張ってきた従業員を解雇する必要があります

雇用を無くさないために廃業ではなく、M&Aを選ぶ事例も少なくありません

経営者の出口戦略として何を目指すべきなのか?

出口戦略を視野に入れて起業する場合には、1.株式上場 2.清算・廃業・倒産 3.M&A売却がありますが、まず1.に関しては非常に難易度が高い為、現実的ではないでしょう。2.に関しては言うまでもなく、避けるべき出口になります。そして残る3.はうまくいけば莫大な資金が手に入る経営者にとって大きなメリットがあるものです。

M&A売却で多額の資金が手に入れば、その資金を最大活用して新しいビジネスに活用する事ができますし、自身の夢を叶える事にも繋がるかと思います。

法人を立ち上げれば必ずうまくいくという保証はなく、廃業や倒産に追い込まれてしまう企業も多くあります。

このような出口も存在するという事を頭に入れておき、撤退基準についてもあらかじめ決めておく事によって再起を図りやすくする事もできます。

漠然と法人を立ち上げるのではなく、立ち上げ時からM&A売却をゴールとして決めておくのは、次のステップに進む足掛かりとして悪い事ではないでしょう。

まとめ:法人立ち上げ前から考えておきたい事業の出口戦略とは?

法人立ち上げの前後に出口戦略を考えるのは、人によっては抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれません。
確かに事業が成長していくことが望ましいですが、余裕のある内にあらゆる対策をしておくべきでしょう

不測の事態によって、急遽出口戦略を講じるという状況では適切な判断ができないかもしれません。

他にも選択肢があったのに、知らなかったから損をしたということがないよう本文でご紹介した出口戦略やポイントをぜひご活用ください。

M&Aによる会社売却を見据えて起業して、実際に多額の資金がM&A売却によって生まれれば、新たな事業を立ち上げて躍進できたりもしますので、出口戦略についての知識はつけておく事をおすすめします

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