美容室の雰囲気を左右する要素は、内装やインテリアだけではありません。BGM(バックグラウンドミュージック) も、お客様がサロンに抱く印象を大きく変える重要な要素です。
リラックスできる音楽が流れるサロンでは滞在時間が心地よく感じられ、逆にBGMのミスマッチは「なんとなく居心地が悪い」という印象につながることもあります。
この記事では、美容室のコンセプトやターゲット客層に合ったBGMジャンルの選び方から、時間帯別・季節別の使い分け戦略、著作権の注意点、おすすめのBGMサービスまで、美容室経営者が知っておきたいBGMの全知識を徹底的に解説します。
美容室のBGMが売上・リピート率に与える効果
「BGMなんて何でもいいのでは?」と思うかもしれませんが、実は音楽がお客様の行動や心理に与える影響は、研究でも裏付けられています。
BGMがお客様の滞在満足度を高める理由
音楽心理学の分野では、BGMのテンポや音量がお客様の行動に影響を与えることが知られています。
テンポと滞在時間の関係として、スローテンポの音楽が流れる環境ではお客様の滞在時間が長くなり、満足度が高まる傾向があります。美容室ではカットやカラーで30分〜2時間以上の滞在になるため、心地よいBGMが「長い待ち時間」を「リラックスタイム」に変える効果があります。
音量と快適さのバランスも重要です。BGMが大きすぎると会話の妨げになり、小さすぎると無音に近い緊張感が生まれます。美容室では「会話を妨げず、沈黙の気まずさを埋める」程度の音量が理想的です。
さらに、心地よいBGMはスタッフのモチベーションにも影響します。スタッフがリラックスした状態で接客できることで、サービスの質向上につながる可能性もあります。
BGMで美容室のブランドイメージを差別化する
お客様がサロンに入った瞬間、最初に感じるのは視覚(内装)と聴覚(BGM)の印象です。つまり、BGMはサロンの「第一印象」を構成する重要な要素のひとつです。
たとえば、おしゃれな洋楽が流れるサロンと、テレビの音声だけが聞こえるサロンでは、お客様が受ける印象は大きく異なります。BGMをサロンのコンセプトに合わせて戦略的に選ぶことで、競合サロンとの差別化にもつながります。
「あのサロンは雰囲気がいい」というお客様の記憶は、視覚だけでなく聴覚の記憶も含めて形成されると考えられています。
【コンセプト別】美容室におすすめのBGMジャンル
美容室のBGMは、サロンのコンセプトやターゲット客層に合わせて選ぶことが基本です。ここでは5つのサロンタイプ別に、おすすめのジャンルを紹介します。
ナチュラル・リラックス系サロン
おすすめジャンル: アコースティック、ボサノヴァ、ローファイ
自然素材のインテリアや観葉植物を取り入れたナチュラル系サロンには、オーガニックな雰囲気に合う音楽が最適です。アコースティックギターの温かみのある音色、ボサノヴァのゆったりしたリズム、ローファイヒップホップの穏やかなビートなどが空間にマッチします。
歌詞が主張しすぎないインストゥルメンタルや、英語・ポルトガル語など日本語以外の曲を選ぶと、BGMとして自然に空間に溶け込みます。
トレンド・おしゃれ系サロン
おすすめジャンル: 洋楽ポップス、インディーR&B、チルアウト
トレンドに敏感な若い世代をターゲットにしたサロンでは、最新の洋楽ポップスやインディー系のR&Bがおすすめです。おしゃれでスタイリッシュな印象を与えつつ、リラックス感も損なわないチルアウト系の楽曲も相性が良いでしょう。
SNSでも話題になるようなアーティストの楽曲を取り入れると、お客様との会話のきっかけにもなります。ただし、アップテンポすぎる曲は長時間の施術には不向きです。
高級・大人向けサロン
おすすめジャンル: ジャズ、クラシックピアノ、ラウンジミュージック
落ち着いた雰囲気を重視する高級サロンでは、ジャズやクラシックピアノの演奏が最適です。上品で洗練された音楽は、高い客単価にふさわしい空間を演出します。
ジャズの中でもスムーズジャズやピアノトリオがBGM向きです。クラシックはピアノソロや弦楽四重奏など、小編成のものが美容室の空間に馴染みやすいでしょう。
メンズ・バーバー系
おすすめジャンル: ファンク、ソウル、ネオソウル、ヒップホップ
メンズ専門サロンやバーバーショップでは、男性的でクールな雰囲気を演出する音楽が効果的です。ファンクやソウルのグルーヴ感、ネオソウルのおしゃれな空気感が、バーバー特有のスタイリッシュな空間を作り出します。
テンポ感はやや速めでも問題ありませんが、歌詞の内容には配慮が必要です。あまりに攻撃的な歌詞のヒップホップは避け、メロウ系やジャジーヒップホップを選ぶのが無難です。
ファミリー・キッズ対応サロン
おすすめジャンル: J-POP(インスト)、アコースティックポップス
お子様連れのお客様が多いファミリーサロンでは、親しみやすく明るい雰囲気のBGMがおすすめです。J-POPのインストゥルメンタルアレンジや、軽快なアコースティックポップスが幅広い年齢層に受け入れられます。
お子様が怖がるような暗い曲調は避けましょう。明るく穏やかなトーンの楽曲を中心に、リズムが楽しい曲を混ぜると退屈感が軽減されやすくなります。
【時間帯・曜日別】BGMの使い分け戦略
1日を通して同じBGMを流し続けるのではなく、時間帯によって選曲を変えることで、お客様にとってより快適な空間を作ることができます。
朝〜午前(オープン〜11時)
開店直後はスタッフの気持ちを切り替え、1日のスタートを爽やかに迎えるBGMがおすすめです。アコースティック系やライトジャズなど、明るく軽やかな曲調が最適です。午前中の来店客は比較的落ち着いた方が多いため、穏やかなトーンで迎えましょう。
ランチタイム(11〜14時)
お昼前後は主婦層や休憩中のビジネスパーソンが来店しやすい時間帯です。軽快なカフェミュージックやボサノヴァで、リラックスしつつも活気のある雰囲気を演出できます。
午後(14〜17時)
午後は比較的ゆったりした時間帯です。落ち着いたジャズやボサノヴァ、チルアウト系の楽曲で、午後のリラックスタイムを演出しましょう。カラーやパーマの長時間メニューが入りやすい時間帯でもあるため、心地よく過ごせるBGMが重要です。
夕方〜夜(17時〜クローズ)
仕事帰りのお客様が増える時間帯です。ラウンジミュージックやチルアウト、スムーズジャズなど、1日の疲れを癒すような落ち着いたBGMが効果的です。夜のサロンならではの、少し大人っぽい雰囲気を演出しましょう。
土日・祝日
土日は平日より来客数が多く、活気のある雰囲気が求められます。平日よりも少し華やかで明るい選曲にすることで、「週末の特別感」を演出できます。ただし、騒がしくなりすぎないよう音量には注意が必要です。
【季節別】美容室BGMのおすすめプレイリスト
季節に合わせてBGMを変えることで、お客様に「このサロンは細部まで気を配っている」という好印象を与えることができます。
春(3〜5月)
新生活シーズンの春は、明るく前向きな気持ちになれる楽曲がおすすめです。軽やかなアコースティックポップスや、ボサノヴァの爽やかなサウンドが、春の陽気に合います。桜の季節に合わせた和テイストのインスト曲を取り入れるのも効果的です。
夏(6〜8月)
夏は爽快感のあるBGMで、涼しげな空間を演出するとよいでしょう。トロピカルハウスやビーチミュージック、ハワイアン調の軽やかな楽曲が夏のサロンにぴったりです。エアコンの効いた涼しい店内で爽やかなBGMが流れると、お客様の満足度はさらに高まります。
秋(9〜11月)
秋は少し落ち着いた温かみのあるサウンドが似合う季節です。ジャズやボサノヴァ、アコースティックギターの温かい音色が、秋の空気感にマッチします。紅葉シーズンの落ち着いた雰囲気に合わせて、しっとりとした選曲を心がけましょう。
冬(12〜2月)
冬は温かみと安らぎを感じるBGMが効果的です。クラシックピアノやヒーリングミュージック、冬の定番洋楽のインストアレンジなどがおすすめです。12月はクリスマスソングのジャズアレンジなどを取り入れると、季節感のある特別な空間を演出しやすくなります。
美容室でBGMを流す際の著作権と注意点
BGMの選び方と同じくらい重要なのが、著作権のルールを守ることです。ここでは、美容室オーナーが最低限知っておくべきポイントを簡潔にまとめます。
個人向けサブスク(Spotify等)は店舗利用NG
Spotify、Apple Music、Amazon Music等の個人向けサブスクリプションサービスは、利用規約で商用利用が禁止されています。自宅で聴くための契約であり、サロンで流す権利は含まれていません。違反した場合は著作権法上の問題だけでなく、サービスのアカウント停止リスクもあります。
合法的にBGMを流す3つの方法
美容室で合法的にBGMを流す方法は、大きく分けて3つあります。
- 店舗向けBGMサービス(USEN等)を契約する
- JASRACに著作権使用料を支払ってCDを流す
- 著作権フリーの音源を使用する
BGMの著作権については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

著作権フリーBGMの選び方については以下の記事で詳しく解説しています。

美容室でのBGM音量の適切な目安
美容室のBGMで特に注意したいのが音量設定です。美容室にはドライヤー(約80dB)という大きな騒音源があり、BGMの音量設定は他の店舗以上に慎重になる必要があります。
目安としては、BGMの音量は50〜60dB程度(静かなオフィス〜普通の会話レベル)が適切です。カット中にお客様とスタイリストが自然に会話できる音量を基準にしましょう。
ドライヤー使用中はBGMがほぼ聞こえなくなりますが、それは正常です。ドライヤーの音に合わせてBGMの音量を上げてしまうと、ドライヤーを止めた瞬間にBGMが急に大きく感じられ、お客様が驚くことがあります。
美容室におすすめのBGMサービス3選
著作権の心配なく、手軽に高品質なBGMを導入できるサービスを3つ厳選してご紹介します。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 | 美容室向けポイント |
|---|---|---|---|
| USEN MUSIC | 6,600円〜 | 業界トップクラス、プロ選曲チャンネル | 美容室専用チャンネルあり、時間帯別自動切替 |
| OTORAKU | 3,278円〜 | 自分でプレイリスト作成可能 | サロンのこだわりを反映しやすい |
| モンスター・チャンネル | 2,068円〜 | 業界最安クラス | コスト重視の小規模サロンに最適 |
USEN MUSIC:業界トップクラス
USEN MUSICは店舗BGM業界でトップクラスのシェアを誇るサービスです。美容室・サロン向けの専用チャンネルが用意されており、プロの選曲スタッフが時間帯やシーンに合わせた楽曲をセレクトしています。
時間帯別の自動切替機能を使えば、朝はアコースティック、午後はジャズ、夜はチルアウトといった切り替えを自動で行えます。
OTORAKU:自分でプレイリストを作れる自由度
OTORAKUはUSENと同じ株式会社USENが提供するアプリ型のBGMサービスです。
月額3,278円(税込)からと手頃な価格で、自分でプレイリストを作成・カスタマイズできる点が最大の魅力です。「うちのサロンらしさ」を音楽で表現したいオーナーにおすすめです。
モンスター・チャンネル:コスパ重視の小規模サロン向け
モンスター・チャンネルは月額2,068円(税込)から利用できる業界最安クラスのBGMサービスです。スマートフォンやタブレットがあればすぐに利用開始でき、初期費用も抑えられます。
開業間もないサロンやコストを重視する小規模サロンに最適です。
美容室のBGMに関するよくある質問
美容室でSpotifyを流してもいいですか?
いいえ。Spotify、Apple Music等の個人向けサブスクリプションサービスは、利用規約で商用利用が禁止されています。
美容室で流す場合は、USEN MUSICやOTORAKUなどの店舗向けBGMサービスを利用するか、JASRACに著作権使用料を支払う必要があります。
美容室のBGMの音量はどのくらいが適切ですか?
目安として50〜60dB程度が一般的です。カット中にお客様との会話が自然にできる音量を基準にしてください。
ドライヤー(約80dB)の使用中はBGMが聞こえにくくなりますが、ドライヤーに合わせて音量を上げると、停止時に爆音になるため避けましょう。
お客様に「好きな音楽流しますよ」と言って個人スマホから流すのはOKですか?
お客様個人のデバイスからの再生であっても、美容室が商業目的で音楽を提供する行為と見なされる可能性があります。著作権リスクを避けるためにも、店舗用のBGMサービスを利用するのが安全です。
ヘッドスパ中に自然音BGMは効果がありますか?
はい、効果的です。川のせせらぎや鳥のさえずりなどの自然音は、リラックス効果が高く、ヘッドスパやトリートメントとの相性が非常に良いとされています。
ヒーリング系やアンビエント系のBGMを取り入れることで、施術の満足度をさらに高めることができます。
BGMにかける予算の目安はどのくらいですか?
月額2,000〜5,000円程度が一般的です。最安のモンスター・チャンネルなら月額2,068円(税込)から導入できます。
BGMの質はお客様の滞在満足度やリピート率に直結するため、客単価UPやリピート率向上を考えれば、十分な投資対効果が見込めます。
まとめ:美容室の雰囲気を決めるBGM選びのポイント
この記事の要点を3つにまとめます。
- BGMはサロンのコンセプト・ターゲット客層に合ったジャンルを選ぶ
- 時間帯・季節に応じて選曲を使い分ける
- 著作権をクリアした店舗向けBGMサービスを利用する
ナチュラル系ならアコースティック、トレンド系なら洋楽ポップス、高級系ならジャズと、サロンの個性を「音」で表現しましょう。BGMの選曲一つでお客様の印象は大きく変わります。
また、朝は爽やかなアコースティック、午後は落ち着いたジャズ、ヘッドスパにはヒーリングミュージックなど、シーンに合わせた使い分けがお客様の満足度を高めます。
個人向けサブスクの商用利用はNGです。月額約2,000円から導入できる店舗向けサービスを活用して、安心してBGMを楽しみましょう。
