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個人事業の開業届を税務署に提出する流れをご紹介!

個人事業として開業する場合開業届を税務署に提出します
実は提出は義務ではないのですが、開業届を提出することで多くのメリットが得られます。

本記事では、税務署に開業届を提出する流れをメインにご紹介していきたいと思います。

開業届の役割とは?

開業届は、税務署に個人事業をスタートしたことを申告する書類です。
開業届は便宜上使われている名称で、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。

個人事業主は納税するために1月1日~12月31日までの所得計算を行いますが、管轄の税務署に開業届を提出して開業と納税の開始を申告します。

個人事業主の場合、開業届とされる書類は以下の2種類があります。
・個人事業の開業・廃業等届出書
・個人事業税の事業開始等申告書

個人事業の開業・廃業等届出書は税務署に提出します。一般的に開業届というとこちらを指すことがほとんど。

個人事業税の事業開始等申告書都道府県税事務所に開業をお知らせする書類で、自治体によって提出期限が異なります
例えば、東京都では開業から15日以内、神奈川県は1ヵ月以内の提出が求められています。

どちらも提出しないことで罰則が生じることはありません

個人事業主が開業届を提出する際の流れ


それでは、実際に個人事業主が開業届を提出する際の流れを確認していきましょう。

申請書を取得する

まずは開業届を取得してください。開業届は税務署に取りに行くか、国税庁の公式サイトからダウンロードが可能です。

個人と法人では開業時の届け出が異なるので、必ず「個人事業の開業・廃業等届出書」を取得してくださいね。

必要事項を全て記載する

開業届を入手したら、必要な項目を埋めていきます。
管轄の税務署長当てに、以下の項目を記載してください。

・書類のタイトル部分の「個人事業の開業・廃業等届出書」の「開業」に○を付ける
・管轄の税務署名を記載
・提出日は記入日ではなく開業届を出す日にち
・納税地は個人事業主の住所を記入、その他にも住所や事業所がある場合は下の欄に記載
・氏名を記載し捺印
・個人番号欄はマイナンバーを記載
・職業欄は記載のルールはないので、分かりやすく記入すればOK
屋号はある場合のみで大丈夫です。
・届出の区分は「開業」に〇でチェックを入れて、事業引継ぎをする際は引き継いだ事業所の住所等を記載
・所得の種類欄は、不動産/山林所得/事業(農業)所得のいずれかから該当するものをチェック
・開業日は自分で決定できますが、開業から1ヵ月以内に届け出を出します。

全ての項目を提出用・控え用に記載し、内容を確認しましょう。
マイナンバーカードや住所などを事前に用意しておくとよいでしょう。

管轄の税務署に提出

開業届は自宅の管轄エリア内にある税務署に提出します。
事業所と自宅の住所が異なる場合は、間違えないよう注意してください。
開業届の提出方法は郵送と窓口持参の2種類がありますので、それぞれの方法を解説していきます。

・郵送の場合
税務署に開業届を郵送する場合は、身分証明書とマイナンバーが分かる書類のコピーを同封して送ります。

封筒には「(管轄の)税務署 御中」と宛名を記載する他、「開廃業届書在中」も合わせて記入すると処理がスムーズです
控えの返送用に必要な金額の切手を貼った封筒を入れることも忘れないでくださいね

また、税務署の受付時間帯に行くことはできないが家から近い所に税務署がある場合、「時間外収集箱」を利用する方法もあります。
基本的な準備は郵送時と同じですが、投函するのは税務署の外に設置されているポストですのでより短時間で受付ができます。

・直接窓口へ持参する場合
税務署の窓口まで開業届を持参する場合は、開業届の他に以下を持っていきましょう。

・身分証明書
・マイナンバーカード/通知カード
・印鑑

身分証明書は運転免許証やパスポートでもよいですが、マイナンバーカードを持っている場合は、身分証明書とマイナンバー確認が同時にできるので荷物が少なくて済みます
マイナンバーカードを持っていない人は、通知カードと身分証明書を合わせて提示してください。

印鑑は必須ではありませんが、もしも開業届の記載に誤りがあった場合に使うので、念のため持参しましょう。

税務署の受付時間は8時30分~17時00分ですが、土日祝日はお休みなので時間帯が合わない場合は、郵送や時間外収集箱を活用してください。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/04.htm

開業届と一緒に提出するといい書類


開業届を提出する時は、他の書類もまとめて出すと手間が省けるのでおすすめです。

・青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、青色申告を行うために必要な書類です。
青色申告は記帳した簿記のデータに基づいて確定申告を行う制度のことで、控除が受けられたり、純損失の繰り越しができたりするため個人事業主にはメリットがあります。

青色申告には、10万円控除と55万円控除(2020年より)があり必要な書類や帳簿が異なります
どちらも確定申告時には確定申告Bと確定申告決算書が必要ですが10万円控除の場合は、
簡易簿記で記帳し必要な帳簿は以下の通りです。
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳

55万円控除の場合は、複式簿記で以下の帳簿が必要です。
・主要簿:総勘定帳/仕訳帳
・補助簿:現金出納帳/売掛帳/買掛帳/固定資産台帳など

青色申告を行うためには、開業届と青色申告承認申請書の提出が義務づけられています。
前述の通り、開業届の提出は義務ではありませんが、提出しなければ青色申告は出来ません。

また、従業員を雇用する場合は以下の書類も必要となります
青色事業専従者給与に関する届出書(配偶者や子供を従業員として雇用する場合)
・給与支払事務所等の開設届出(社員やアルバイトを雇用する場合)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(源泉徴収を行う場合)

業務形態や内容によって、必要な届出の数は異なります。
開業前後はやらなければならないことが山積みで忙しいので、なるべく1度の手続きで済むように事前に必要な作業を整理しておいてくださいね。

再発行は手間がかかるので控えは保管しておこう

開業届の控えは、開業届を提出したことを示す保管用書類というだけでなく、事業における様々な場面で使われます。

たとえば、
・金融機関から融資を受ける
・事業用クレジットカードを発行
屋号名義の銀行口座を作る
といった際に開業届の提出が求められます。
控えには収受印が押されてないと有効性が認められませんので、手続きの際にきちんと確認してください。

紛失してしまった場合は再発行が可能ですが、手数料300円がかかる上に税務署に対して個人情報の開示請求を行わなければなりません。

期間としては1ヶ月程かかり手間が増えてしまいますので、他の重要書類とまとめて金庫や鍵のかかる引き出しなど、失くしにくい場所で管理してくださいね

まとめ:個人事業の開業届を税務署に提出する流れをご紹介!

開業届は個人事業主が青色申告を行うために必要な届出です。
本文中で何度か触れたように、提出しないとなにか罰則が与えられるというわけではありませんが、青色申告で控除を受けたり融資を受けたりするためには必須となります。

そのため、何か理由がない限り開業したら速やかに提出する方がよいでしょう。
なにか分からないことがあれば、管轄の税務署に電話などで相談してみてくださいね。